人身売買の象徴だった!?「はないちもんめ」の歌詞が怖い…
「勝って嬉しい」から始まる、古くより日本人になじみ深い童謡「はないちもんめ」。
歌詞中でもひらがなで書かれることの多いこのタイトル。漢字に直すと花一匁となり、本来は「花を買う際の相場」を表しているのだが…
どうやらこの歌には、それとは別の怖い意味が隠されているというのだ。
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ここがポイント!
知らない方が良い?「はないちもんめ」本来の歌詞の意味
前述したように「はないちもんめ」は花一匁と書く。あまり見慣れた漢字ではないので、歌詞中ではひらがな表記されている。
この匁(もんめ)とは、昔の日本で実際に使われていた質量の単位である。現在でも真珠の計量などにこの匁は使われているが、古くはどの物質にもこの単位が用いられ「一匁=3.75グラム」と規定されていた。
この事を踏まえて「はないちもんめ」の歌詞を見ると、なんとなく曲の内容が分かると思う。例えば「勝って嬉しい」は「買って嬉しい」、つまり花を購入できて喜ぶさまだと容易に想像できる。
あるいは「負けて悔しい」と言うのも値切られて後悔しているさまを表現した歌詞と見て取れるだろう。
他に「あの子が欲しい」というちょっと怖い部分も、単に花を人に見立てた擬人法と考えることが可能だ。
すると、その後に続く「相談しましょ」というワードも値段交渉を暗示する内容だと想像できないだろうか?
実際に「はないちもんめ」は子ども遊び用の童謡であり、この曲で遊ぶ時はいわゆる「買い手側」と「売り手側」の二組に別れる。
ただし本来はその後、グループ同士の代表がじゃんけんをし、勝った方が先に指名した子どもを貰っていくという流れになるので、「じゃあどっちも買い手側じゃん!」というちょっとした矛盾が生じる。
が、そこはあくまでゲームなのでご愛敬…いずれにしろ「はないちもんめ」とは、お花の売り買いをモチーフとした子ども遊びのための曲であり、歌詞の内容も意外とほんわかしているのだ。
が、しかし…
実は怖い「はないちもんめ」伝説!恐るべき歌詞の真実
上で語ったのは、いわゆる一般常識的な「はないちもんめ」の歌詞内容である。しかしこの曲には昔から都市伝説的な言い伝えがあり、こちらのエピソードが少々怖い話として有名だ。
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先ほど「あの子が欲しい」という部分は「花を人に見立てた擬人法」と説明したが、いわゆる都市伝説によると、これはそんな甘ったるい表現ではない。
実際に「そこにいる子どもを下さい」という意味だと紹介されているのだ。簡単に言えば「はないちもんめ」の歌詞は「人買い」をテーマにしたものだと言うのである。
このわらべうたが昔から怖いと言われ続けてきた理由は、この点にある。
実際に日本では、昭和の初期頃まで「人身売買」が当たり前のように行われていたとされる。特に貧しい農村部では、生まれてきた子どもを安く売る「間引き」の慣習が強く残っていたそうだ…
もちろん現代では人身売買自体が法律で禁止されているので、そんなことは「過去の怖い話」くらいのエピソードとして語られるに留まっている。
しかし逆に言えば、その「過去」には事実としてこうした悪しき行いが続けられて来たのだ。こうした事実を、後世の時代に残そうとして作られたのが「はないちもんめ」である…
かどうかは定かではないが、いずれにしろしっかりとした歌詞になって当時の社会背景が表現されているのだ。どちらかと言えば怖いというよりも、悲しいエピソードではある…
が、あくまで噂。都市伝説だと言うことは忘れないでほしい。
ちなみに噂を信じるとして、なぜ人身売買をテーマにした曲のタイトルが「はないちもんめ」かについては諸説ある。
有力な説だけでも複数存在しており、例えば当時の子ども達は「花一匁」と同じくらいの値段で取引されていたというもの。
一匁が大体4グラムな訳だから、花一匁と言えばバラ一輪分くらいだろうか?すると現在の価格にして…などと頭を働かせると少し怖い。
他にも「子ども」を「花」と言い換えた上で、彼らが「一匁」くらいの値段で取引されていたため、という説もある。
明治以前は江戸と大阪で別々の相場制度が用いられていて、例えば同じ金貨や銀貨でも使う場所や日時によって値段の価値が異なっていた。
この相場を決める際の基準となったのが、通貨ごとの重量であり、転じて匁は通貨単位として用いられることもあった。
あまり詳しく語ると脱線してしまいそうなので、この辺りにしておくが…つまり「もんめ=はした金」と捉えて問題はない。
よって「はないちもんめ」とは「子どもがめっちゃ安い値段で買われてる」ことを指し、もうちょっと深読みするなら「そんなことがあっていいのか!?」という当時の社会現象に対する反論と思えなくもない…
そうした視点から読み返してみると、まったく子ども遊びのための歌詞とは思えない。実に怖い内容である。
そもそも、本来「買われる側」の子ども達が「はないちもんめ」に興じるというのは酷くシニカルというか、皮肉的だ。この曲の発祥時期は定かではない。
しかしもし、人身売買が行われていた当時から「わらべうた」として存在していたのなら、大人達は間引きや口減らしをする傍らでこの曲を、子ども達本人から聞かされていたことになる。
その罪悪感たるや、相当なものだったろう…子どもや大人達にしても「はないちもんめ」は怖い歌だったに違いない。
怖いだけじゃなかった…「はないちもんめ」のローカルバージョンが面白い!
子ども遊びのわらべうたである「はないちもんめ」は1979年、NHKの『みんなのうた』で『夏は来ぬ』などと共に日本童謡として紹介された。
ところがそのようなメディアが発達する以前から、この曲は日本全国で歌われていた。また、地方によっては歌詞に様々な違いも存在しているのだ。
現代のように規格統一が容易ではなかった時代の曲なので、いわゆるガラパゴス進化的なバージョン違いにまで発展していったのだろうが…意外と地方色が出ていて面白い。
最もオーソドックスなのは「鬼が怖くて行かれない、お釜かぶってちょっと来ておくれ」という、やや怖い歌詞のものだ。
例えばこの部分にしても、愛知県や岐阜県などのいわゆる濃尾平野辺りでは「鬼がいるからよう行かん」と、ご当地の方言に言い換えられている。
さらに高知県では「タンス長持ちあの子が欲しい」という、全く訳の分からない歌詞に変じている。タンスを長持ちさせる「あの子」って、もはやただの防虫剤にも思えてしまうが…
あまりにシュール過ぎて逆に怖い。何か裏の意味があるのではないかと疑ってしまいそうだ。しかし、これはまだ序の口。
いくらカタカナで表記するのが一般的とは言え、タンスは日本語であるからまだ許される。もっとも驚いたのは、静岡県のとある市で広まっているバージョン。
そこでは「ゴリラ、パンツ、あっかんべ〜」という歌詞が愛用されているのだ。
あっかんべ〜はわかる。ゴリラ?パンツ?あれ?「はないちもんめ」って日本の童謡だよな?と、ついめまいを起こしてしまいそうなワードではなかろうか?
いや、もしかするとこの2つの言葉は本来「日本語」だったのかもしれない。それが、何かの弾みで外来語と認識され、世界中がそうした理解の元に食い違った説明をしている…!
という妄想が進むと、ドン引きを越えて軽く怖いのでこの辺りにしておこう。ともかく「はないちもんめ」はこのように、地方によって歌詞にかなりのアレンジがされている。
逆に言うとメディアが発達するだいぶ以前から、このわらべうたが日本各地に広まっていたことの証拠とも考えられるが…では、その発信源はどこにあったのだろう?
そう考えると、またちょっと怖いというか、むしろ知的好奇心の意味でロマン溢れるテーマとも思えないだろうか。また現代においても「はないちもんめ」は度々、アレンジや引用がされている。
1970年代のロックバンド「はっぴいえんど」に代表される同名タイトルを用いた楽曲はもちろんのこと、ザ・ハイロウズの『相談天国』というシングルナンバーでは、サビの部分にメロディーと歌詞が使われていたりする。
また、チームカミウタ名義のボーカロイド曲ではタイトルに「はないちもんめ」が使われ、さらに曲中でも一部メロディーが引用されている。
しかもこの曲は「間引き」の都市伝説をモチーフにしているのか、全体のメロディーラインがややホラーテイスト。歌詞もオカルトチックな怖い雰囲気になっているのが印象的だ。
このように、日本の童謡の中でも特に引用される頻度の高い「はないちもんめ」だが、言い換えればそれだけ国民的なわらべうたである証拠かもしれない。
『はないちもんめ』と言えば、最近は都市伝説が逆転して事実のように語られることが多い。
こうした風潮のためか「ほんとうは怖い童謡」シリーズなどでも、歌詞の内容を現代訳したストーリーが映像化されている。いわゆるB級フィルムではあるが、興味がある方はぜひ。