るろうに剣心には幻の最終回が存在した【原作版】
1999年の週刊少年ジャンプ43号で人気絶頂のなか、惜しまれつつ最終回となったるろうに剣心。アニメ版はその一年前に最終回を迎えている。
個人的にはどちらも上手くまとまった終わり方だと感じている。しかし、一部ファンの間ではこの「るろうに剣心の最終回」に不満の声があがっているのをご存知だろうか。
一体ナゼ?いきさつも含め、ここでは各編の最終回を紹介したい。
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「るろうに剣心」本編の最終回、ラスボスの怨念が凄まじい…
るろうに剣心はアニメ版のヒットで人気作となったが、残念なことにアニメ版は原作の連載中に最終回を迎えている。このことから意外と原作の最終回を知らない人が多い。
そこでまずは、こちらのあらすじを紹介する。るろうに剣心は大まかに三部構成となっており、最終回は人誅編というエピソードにくくられる。
この人誅編では、人斬り抜刀斎に恨みを持つ六人の武士が現在の剣心に襲いかかってくる。ラスボスとして描かれているのは姉である雪代巴を殺された雪代縁で、漫画版るろうに剣心のラストも彼との戦いになっている。
ちなみに雪代巴は剣心の元妻であり、縁は義理の弟にあたる。かなり複雑な関係だ。また、るろうに剣心のラスボスは志々雄だと勘違いしている人が多いのでハッキリ言っておきたい。
漫画版では「雪代縁」こそが最後の敵である。そして彼がとにかく強い。復讐を果たそうとしていることもあって、作中ではメチャクチャな強さで描かれている。
一方で、剣心は抜刀斎時代の罪を償うべく「不殺」を誓っているため十分な実力を出せない。どうにか雪代縁を殺さないまま勝利し、物語はラストスパートとなる。そしてよくあるパターンだが、最終回では話が数年後に飛ぶ。
そこで剣心は成長した弥彦に自身の愛刀でもある、逆刃刀を渡すのだ。戦いの武器でしかない逆刃刀を手放すことで「過去」と決別したのである。そして結婚した薫と、二人の間に生まれた子どもの元へ駆けつける。
「戦いは終わらない…だけど、不殺の精神だけは守る」
剣心は薫と子どもの前でこのように誓いをたてた。
「うん、そうだけど…とりあえずお疲れ様」
薫が笑顔でこう返し、剣心の肩をポンと叩くシーンがるろうに剣心の最後である。
「るろうに剣心・星霜編」が残念過ぎる…これが最終回ってホント?
ところが、るろうに剣心にはこの続きが存在する。OVA版のアニメである「追憶編」と「星霜編(せいそうへん)」がそれだ。追憶編に関しては抜刀斎時代の話を描いたものなので除外するが、問題となったのは星霜編。
この星霜編は原作の最終回から、さらに十数年後を舞台にしている。剣心は飛天御剣流を使い過ぎたため不治の病にかかっていたが、山県有朋の要望によって日清戦争におもむく。
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ところがその帰路に航行中の船から落ちて、行方不明となってしまう。また、剣心と心を一つにしたいと病を引き受ける薫。彼女は苦しみのなかで行方不明になった剣心を待ち続ける。
やがて見つかった剣心は相楽左之助の助けを受けて薫の前に戻ってくるも、記憶が曖昧な状態になっていた。そして最後は彼女の腕の中で目を閉じる。という、全体的に物凄くネガティブなストーリーになっている。
ポジティブで活発だった薫も星霜編では信じられないほどの落ち着きを見せているし、第一剣心や薫の目から気力が全く感じられずかなりの違和感がある。
一部のファンが不満がっているこの星霜編。るろうに剣心の時系列でも、やはりこれが実質上の最終回となる。
それが、こんな話ではあんまりだ!ということである。中には「結論ありきの予定調和」と断じる声や「こんな話は認めない」と否定する声も多くある。
実は、るろうに剣心の作者・和月伸宏氏は星霜編の構成には手出ししていないらしく、こうした事実からも「星霜編はるろうに剣心のifストーリー」と考える人が少なくないのだ。と言うか、そう考えないとファンとしてはやっていられない心境だろう。
るろうに剣心の「最終回」は別に用意されていた?
とはいえ「納得いかないから最終回は認めない」では、仮に内容がヒドかったとしてもあまりにワガママ過ぎないだろうか?しかし、これにもちゃんとした根拠がある。
実は「るろうに剣心」には幻の最終回が存在するのだ。しかも作者の和月氏によれば、るろうに剣心は本来、東京編・京都編・人誅編の三部に「北海道編」なるエピソードを加えて四部構成にするつもりだったという。
だがこの北海道編が実現しなかった理由は、単に和月氏が「るろうに剣心は三部で既に完結した」と悟ったためだ。
また、2012年に行われたキネマ版の連載時にも「読者が待っているのは分かるが、剣心の物語はこれ以上描けない」と語っている。
逆に言えば、作者の頭の中にはしっかりと剣心たちのその後のエピソードがあり、実は「勝手に描かれた星霜編」とは全く別の展開を想定していたとも言われる。
多くのファンがOVA版を「if展開」と考えるのはこのためであり、筆者もそのうちの一人だ。なんだかんだ言いつつも、最終回はハッピーエンドを見て余韻に浸りたいからである。
しかし、どう感じるかは人それぞれだ。あなたはこの説を支持するだろうか?