【ぼくのなつやすみ都市伝説】8月32日の正体
前回も説明した「ぼくのなつやすみ」8月32日のバグ。
実はこの都市伝説には、ちょっとしたエピローグがある。
というのも、ぼくのなつやすみスタッフが直接この件に関してコメントしているのだ。
今回は続編であり、スタッフの言葉を元にこの都市伝説の真相を明かしていく。
ささいなミスが都市伝説を作った?
このバグは本来「カーソルが移動するはずのない場所に移動する」ことが原因で起こるものだ。ではなぜ、こんなことが起きてしまったのか?
「ぼくのなつやすみ」本編では通常、夜になるまで絵日記は書けない。昼間めいっぱい遊んだボクくんが今日の出来事を日記に書いて寝るというのが一日の流れ。
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そしてこの日記を書くには、机の上の画面のやや左側にあるヒモをクリックする必要がある。これはライトスタンドのヒモで昼間はそのグラフィックすら表示されていないため、当然だがクリックはできない。
…というより、ぼくのなつやすみスタッフは元々そのつもりでゲームを作っていた。ところが前回の記事で紹介した方法を使うと…ゲーム本編でも昼間にヒモをクリック出来てしまうというバグ技が発生するのだ。
しかし、これだけなら「何もやることのない一日」を簡単に飛ばせる便利なバグ技という話で終わっただろう。問題はこの裏技が「夏の思い出」画面でも出来てしまったことにある。
スタッフからすると、このたった一つのミスが都市伝説にまでなった有名なバグ技を助長してしまったのだ。
ミスはチェック不足から起きたのか?
実は有名ゲームにはこうした都市伝説が数多く存在するのだ。開発中、デバッグという作業でこのバグを1つずつ取りのぞき、ゲームが発売される頃には誤作動のない状態に仕上がる。
ところが「ぼくのなつやすみ」を初めとしたいくつかのゲームには、取りのぞいたはずのバグが残ったままのモノもある。単純にチェックが甘かったのだろうか?
当然そう考えるのが普通だ。しかし「ぼくのなつやすみ」をプレイした方なら分かるだろうが、このゲームには他にこれといったバグが存在しない。
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それもそのはず。実はスタッフ談によると「ぼくのなつやすみ」は他の作品と比べても「デバッグをしっかりやっていた」ゲームなんだそう。
デバッグのみならずプログラムの作りも良く、本来このような都市伝説が広まることは予測していなかったのだ。で、先述の通り昼間だとライトスタンドのヒモが表示されない。
開発にたずさわった誰もがその「何もない空間」をクリック出来るとは思いもしなかった…現にその一点だけチェックが甘かったとしても、全体の作り込みは相当なものだった。
高性能が生んだ都市伝説
「ぼくのなつやすみ」はどれだけしっかり作りこまれていたか?それは「8月32日」のバグが証明していた。
このバグ名はプレイヤーによって付けられたものだが、ゲーム的にも本来は存在しない日にち(データ)をプレイしていることになる。
プレイ中、こうした「存在しないデータ」の中に入ると多くのゲームはフリーズしてしまう。何故かといえば、予想外の状況になるとプログラムが対処しきれないからである。
「8月32日」についても同様だが、実は意外にもかなり長い時間遊べるのだ。これはプログラムがどうにかまともにプレイできる状態にしようと頑張っている結果だとスタッフは語る。
とは言え、データがないままプレイし続けると強い負荷がかかるため、見た目もどんどんホラーな感じに壊れていく。
また日にちが過ぎるほど無意味な情報量が増えていき、やがてプログラムが処理出来ずに止まってしまう。
高性能すぎたゆえに8月32日の都市伝説がここまで有名になったことに加え、むしろこのバグが性能の高さをも証明していたとは…何とも皮肉な話である。
伝説はときに意外な成り行きから生まれる。今回でいえば、たった一つのミスとそれをカバーするすばらしい技術との組み合わせ。
「ぼくのなつやすみ」を通して改めて感じたのはゲームスタッフの情熱の高さだろう。