アニメ版「艦これ」の最終回!実は元ネタがあった!?
近年の軍艦やミリタリーブームの立役者となった「艦これ」。
サービス開始から数年経った今でも絶大な人気を誇るブラウザゲームです。
実在の艦艇を擬人化するという斬新な設定は、ゲーマー層だけでなく史実ファンも取り込んでより広がりを見せています。
今も多くの新キャラクターを投入し続けている「艦これ」ですが、TVアニメ版の最終回放映後に大きな波紋を呼んだことをご存知でしょうか?
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最初から波乱含みだった「艦これ」アニメ
「艦これ」のアニメ化については、当初からファンの間では不安視する声が聞かれました。
「艦これ」は多くの設定を開発陣が公言しないことで知られています。
それが逆にプレイヤーの想像をかきたて、沢山のファンアートを生み出したのです。
その流れが断ち切られることを不安に思うファンが多かったのは当然と言えるでしょう。
そして、その不安が的中してしまったのが第3話。
W島(うとう)攻略中に、駆逐艦・如月が敵空母の爆撃により轟沈してしまったのです。
ゲーム内でもキャラクターが一定以上のダメージを受けると轟沈するのは仕様として存在します。
そして、そのキャラはロスト扱いとして事前に搭載した復活用のアイテムがなければそのまま消えてしまいます。
しかしこれは深刻なダメージを受けた状態で進軍しなければ起こり得ないことであり、「プレイヤー=提督」の行動次第で回避できるものです。
それを攻略に利用するプレイヤーもいますが、多くの提督から嫌われる行為でもあります。
いわば、「艦これ」最大の禁じ手である「轟沈」を説明もなしにあっさりと描写したことでファンの間では論争が巻き起こりました。
「艦これ」というゲームをモチーフに作られている以上、プレイヤーは「提督」に自分を投影しています。
それが自分の行動いかんで回避できる轟沈を起こしたとあっては無理もないことでしょう。
W島攻略が史実でも如月を失った「ウェーク島攻略作戦」が題材になっているとはいえ、あまりにもチャレンジングな展開でした。
「轟沈させた意味がない」と言われながらも、ストーリーは最終回である「AL/MI 作戦」へ突入します。
その最終回もなんだかよく分からないうちに終わってしまった…と釈然としないファンも多かったようです。
作戦の概要が説明不足で、なぜこうなったのかが把握しづらいという評価も見られました。
しかし、モチーフとなった史実を紐解いてみるとまた違ったものが見えてくるのです。
史実から考えるアニメ版「艦これ」の最終回
TVアニメ版「艦これ」の最終回は「AL/MI 作戦」の激闘が描かれています。
これは史実の「アリューシャン作戦」と「ミッドウェー海戦」がモチーフになっており、赤城や加賀、利根等が参戦した第二次世界大戦最後の大海戦と言えるものでした。
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AL作戦が陽動、MI作戦が本戦というあたりも実際のものと同じですね。
「艦これ」のゲーム上では既にこちらは実施されています。
初めての連合艦隊が導入された大規模なもので、いわば「艦これ」のマイルストーン的イベントでした。
アニメ版の「艦これ」でも最終回にこの作戦を持ってきたのは順当と言えるでしょう。
最終回で、赤城は何度も「定めのくびき」という言葉を口にします。
この「AL/MI 作戦」は多くの艦艇が参戦したものの、史実ではほとんどが敵に沈められています。
特に赤城・加賀・飛龍・蒼龍という日本が誇る空母4隻をMI作戦で失ったことは、後の戦況に大きく影響しました。
「艦これ」においてキャラクターたちは実艇だった頃の記憶をうっすらと持っていることが知られています。
つまり赤城は自分がこの作戦で沈んだことを知っており、また同じ結末になることを恐れているというわけですね。
しかし、それを覆す存在が主人公・吹雪でした。
W島攻略では史実通り如月を失いましたが、その後の「ポートモレスビー攻略」をモチーフにしたMO作戦では本来轟沈していたはずの祥鳳が生還しています。
史実と同じ結末を辿らない=さだめのくびきを外すという力が吹雪に備わっているのではないでしょうか。
あまりにも唐突だった如月の轟沈は、この「史実への抵抗」を表現したかったとも解釈できますね。
実際に「AL/MI 作戦」ではひとりの犠牲も出さず、睦月や提督の待つ鎮守府に全員が帰還することができました。
「キャラクターの掘り下げが浅い」
「展開がご都合主義…」
等々の批判はあれど、史実を知ったうえで最終回を見るとなかなか感慨深いものがありそうです。
最終回から劇場版へ持ち越された謎とは?
そしてあまりにも報われない存在になってしまった如月ですが、最終回で海に漂う彼女の髪飾りがクローズアップされています。
これはTV放映版とDVD版で色味が違っていることが話題になりました。
DVD版の方がより黒ずんだ禍々しい色合いに変化していて、新たな不幸を感じさせる絵面になっています。
一度は轟沈した如月が、劇場版ではどう扱われるのか見ものですね!
「艦これ」のTVアニメはお世辞にも評判が良いと言えるものではありません。
キャラクターに愛着を持って育成するゲームである以上、批判はある程度仕方のないことかもしれませんが。
しかしストーリーと史実を併せて観ていくと、おぼろげながらアニメ版で描きたかったものが見えてくるのではないでしようか。
最終回を迎えた後もまだまだ広がりを見せる「艦これ」。
さまざまな角度から楽しみたいものですね。