これ知ってた!?「風立ちぬ」のオフレコ都市伝説4つ
2013年に公開された宮崎駿監督の「風立ちぬ」。
彼はこの作品をラストに長編アニメ制作の引退宣言をし、最後の長編映画となった。
これまでの宮崎映画もそれぞれ人気があるものばかりだが、隠れメッセージが多く都市伝説があがりやすいのも特徴的である。
そこで今回は、風立ちぬの都市伝説や裏話を紹介しよう。
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UFOを見ていた?堀越二郎の仮説が都市伝説に
主人公の模範となった飛行機設計家の堀越二郎氏。
彼は飛行機を作る一方、UFOとも深い関係があったという都市伝説が存在する。
1947年にアメリカワシントン州でUFO目撃情報があがり「ケネス・アーノルド事件」と呼ばれて話題になった。
堀越氏もこの事件について強い興味を抱いており、彼の研究ノートには事件に関する12個の仮説が立てられている。
不思議なことに、3ページ目の仮説だけは紛失した状態でノートは見つかった。
ノートに残った仮説は心理的な勘違いが招いたと、UFO都市伝説を否定するものばかりであった。
噂では消された仮説のみUFOの存在を肯定し、更に真髄に迫る内容だったのではないかといわれている。
宙を舞う物体と言えば何も飛行機だけではない。堀越氏は空飛ぶ物に一様にロマンを抱いていたのかもしれない。
風立ちぬ、二郎の声優にまつわる裏エピソード
主人公・二郎の声優を担当したのは「新世紀エヴァンゲリオン」の監督である庵野秀明氏。
声優や俳優ではない彼のアフレコには賛否があがっている。
宮崎監督は兼ねてから、声優よりも俳優を起用することが多い。
その理由として「プロは馴れているから。俳優などは慣れていないために言葉のキャッチボールに緊張感が生まれ、役者の演技を超えたリアルを感じられる」と語っている。
庵野氏は「風の谷のナウシカ」でも原画を務め、宮崎監督とは以前から親交がある。
ちなみに今回の主人公。無意識に人と距離を取ってしまうようなキャラクターである。
彼を起用したことに対しては「誤解されがちだが、彼は現代で一番傷つきながら生きている。そのために声が丸くなく、ギザギザしている。」と、互いをよく知っているからこその理由をあげていた。
庵野氏はオファーがあった際にはかなり驚き、不安になったものの「マイクの前に立つと彼の気持ちがよく分かった」と述べている。
主人公のあまり感情を表に出さない性格も重なって、彼のアフレコがキャラにマッチしていたのだ。
声優初挑戦だったという庵野秀明の声は「棒読み」とも言われているが、彼ならではの味が出ているのは確かだろう。
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都市伝説化される「帽子」の役割
風立ちぬではタイトル通り「風」が物語を運んでいく。
最初は二郎の帽子が飛んだのを菜穂子が掴んだことで出会いが始まり、軽井沢ではパラソルが飛んだことで再会が実現した。
「ジブリは要所にメッセージが込められた作品」というのは有名な語り草だが、もちろんこの風立ちぬも例外ではない。
このように「風が吹く」度に物語が大きく動いていくのだ。
また作中では帽子の描写がやたらと目に付くが、これに対し「帽子の場所=その人の居るべき場所」という興味深い都市伝説があがっている。
例えば最初の出会いでキャッチしたはずの帽子は、その後またどこかへ飛んで行ってしまうのだ。
これはまだ二人が「一緒になるべき時ではない」ことを暗喩しているのではないか。
そして最後の、菜緒子の死を悟る夢のシーンで二郎が帽子を被っていなかったのは、彼がまだ「生きていくため」だと考察されている。
見ていて「今にも飛びそう!押さえて!」とハラハラする描写の多い場面こそが、物語を運ぶキーポイントだったのかもしれない。
「風立ちぬ」にはヒロインが2人いた?
風立ちぬは堀辰雄の小説「風立ちぬ」がきっかけになって出来た作品だ。
しかし原作でのヒロインの名前は節子であり、アニメとは異なる。
その理由はヒロインが堀辰雄の「風立ちぬ」の節子と、もうひとつの彼の小説「菜緒子」を合わせた架空の人物であるからだ。
「風立ちぬ」の節子は、堀辰雄の恋人だった本来の人物がモデルであり、既婚者に愛される女性の姿が描かれている。
一方の「菜穂子」は既婚者女性であり、黒川という名字になる。
しかし病気を患って高原の療養所に入院する。
その名残からか、映画では二郎の上司の名に黒川が使われている。
(監督はこの黒川が自分に似てると思い、親近感を感じて「俺、黒川の声やりたい」と言ったそうだ。結局、彼の声を務めたのは俳優の西村雅彦だが…)
また、この両作品のヒロインはどちらも病気を患い闘病する設定である。
それは堀辰雄自身が、恋人を病気で失った過去を持つからに他ならない。
単に「風立ちぬ」が原作と考えると「どうして節子じゃなくて菜穂子なのか?」と疑問に思う所だが、両作品のヒロインがモデルなら納得である。
風立ちぬは、実在の人物を参考にしているからこそ都市伝説が多い。
時代を生きた人ならではの心理描写には惹き付けられるものがある。