【幻のポケモン・ミュウ】151匹目に隠された裏話
子どもの頃、夕方になるとポケモンのアニメが放送されていた。あれは水曜日だったろうか。
クラブ活動があって下校の時間が遅くなり、駆け足で帰路に就いたことを良く覚えている。
大概は間に合わず途中から見ることになる。そして本編を見終えると、エンディングでオーキド博士が唄うのだ。
「具体的にははっきりきっかり151!」と。はっきりきっかりなのに151?150なら判るけど…。
幼心に座りの悪さを感じたが、それにはこんな裏話が関係している。
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ポケモン発売当時は150匹しかいなかった?
ポケモンの151匹目と言うと、あの愛くるしいフォルムで人気のミュウである。ミュウツーの生みの親であり、アニメポケモンの劇場版で主役に抜擢されるなど、その人気は依然として高い。
しかし実はこのミュウ、初代ポケモン発売当初には登場する予定がなかったという裏話がある。ポケモンの裏話としては有名な話だが、初代ポケモンの発売からずいぶんと歳月が流れているので、軽くおさらいしておこう。
そもそも初代ポケモンの図鑑には全150匹分のデータベースしかなく、151匹目の入る余地はなかった。当時のCMでも「モンスター全部で150種類」と謳われている。
公式にも150匹と発表され、誰もがそれを疑うことなく信じていた。
しかしそこにある噂が流れる。
「幻のポケモン、ミュウが存在するらしいよ!」
インターネットなど普及していなかった時代に、どこをどう巡って伝わったのか、地方に住む筆者の耳にも鋭く届いてきた。その時点ではまだ憶測の域を出ず、裏話というよりは都市伝説に近いものがあった。
しかし、実際にミュウの画像やデータが世に出回り始め、いよいよ信憑性が増していった。後になって分かったことだが、どうやらポケモンのコアユーザーがデータ解析をしたことによって明るみに出たらしい。
そう、つまり「ミュウ」は始めからデータ内部には存在していたのだ。
データの隙間にこっそり入れられた日陰ポケモン・ミュウ
最初からデータには入っていたのに、どうして普通にプレイしていても出てこなかったのか?この件に関して、後にスタッフの口から裏話が聞けた。
インタビューでのオフレコによると、「製品納入直前にデータに空きが出来たので、密かに入れておいた」とのこと。また、「制作過程で作られたが登場させる予定はなかった」とも語られている。
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使われることのないデータをこっそり忍ばせておくのは、ゲーム業界では良く聞かれる裏話だ。折角作ったものを捨てるのは心惜しい。誰だってそうだ。
そんな親心もしくは遊び心がさせた、スタッフのサプライズ。そのおかげでミュウは、あわや一生日陰者の立場から、今や世界中で可愛がられるキャラへと進化した。
スタッフの愛にあふれた、何とも心温まる裏話だ。でもちょっと待って欲しい。この裏話、なんだかちょっと怪しい気がする。
出来過ぎたサイドストーリー、裏話
先ず、ミュウという存在はプレイヤーの間で急に湧き起こったものではなかった。名前だけではあるが、初代ポケモンの中で、ミュウツーの誕生に関するメモにしっかりと書かれてあるのだ。
そのため、多くのプレイヤーが「名前だけは知っている」という状態だった。図鑑を埋めきれていない時には「このどこかにミュウのデータが載るはず」と考えていた人も多かったと思う。
しかし図鑑をコンプリートしても、その姿はどこにもない。
「あれ、おかしいな?」
前述したミュウ存在説の噂は、時期的に多くのプレイヤーがそんな疑問を覚えた頃だったと思う。タイミングとしてはかなり良すぎるのではないか。
その後の任天堂の動きも見事だった。噂が広まってすぐ、ミュウを正式なポケモンと認定し、雑誌懸賞やイベントでの配布というキャンペーンを展開した。
だが、これもあまりに手際が良すぎる。スタッフの裏話でも「使われなくても別に良かった」と述懐している。これは「キャンペーンに利用されなくても仕方ない」と読み解くことも出来る、含意のある言葉ではないか。
また、データ解析を行った人が名乗りでても良い様なものなのに、そうした話を聞いたことがない。長くゲームメーカーの最先端を走る任天堂だけに、子供心を熟知しているはずだ。
実は任天堂が演出した、子どもが喜びそうなマーケティングだったのでは?この裏話、ただのほっこり裏話のままでは終わらなさそうだ。
綺麗な花にはトゲがある。そう、それはミュウも例外無く当てはまるのだ。