《ポニョ都市伝説》津波の影響で放送自粛ってホント!?
「崖の上のポニョ」は宮崎駿の完全オリジナル作品である。
原作から脚本、監督まで担当したのは2001年の「千と千尋の神隠し」以降、七年ぶりの作品となった。
ポニョとそうすけの愛と友情の物語だが、出会う際に魔法の力で大きな津波が発生する。
そしてこの「津波」を巡って様々な都市伝説が囁かれているのだ。
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津波のせいでポニョが「放送禁止」になっていた?
ジブリアニメは日本の誇れるアニメとして老若男女、問わず親しまれている。それゆえに映画公開のたびに多くの注目を集めるのはもちろん、日テレの「金曜ロードショー」でも頻繁に放送されている。
ジブリの人気作品「天空の城ラピュタ」では、テレビ放映が決まる度に「バルス祭り」と騒がれるほど…そんな中、「崖の上のポニョ」のテレビ放送は今後されないと都市伝説になっている。
ストーリー上で津波の描写がリアルに描かれているために、2011年の東日本大震災を連想させてしまうことが主な理由である。
現に2011年7月の「東京スポーツ」にて、ポニョは日テレで放映禁止になっていることを明かした。
フィクションではあるものの、津波のシーンがあるポニョを放送するのは正直、心中穏やかではないということだ。
サザンオールスターズの代表曲である「TSUNAMI」もこの地震を機に、桑田圭介氏自身もしばらく公で歌うのを自粛したほどだ。
さすがに2011年内は、人気のポニョも放送規制せざるを得なかったのだろう。そして、2012年8月には「崖の上のポニョ」のテレビ放映が解禁された。
だが、一回目(前回)は29.8%と高視聴率を叩き出したものの、この際の視聴率は16.4%と大幅に下がってしまった。やはり津波の影響が大きいのだろうか?
この点も、ポニョのテレビ放映が減っていくとされる都市伝説の理由になるだろう。ちなみにジブリで最高視聴率を記録したのは「千と千尋の神隠し」で46.9%。
アニメとしては前代未聞の高視聴率である。しかし近年は、テレビ離れも進行している。
ポニョの視聴率が下がったことは単に津波のせいだけとも言い切れない…
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ポニョに登場する「古代魚」に関する都市伝説
津波の後のそうすけ達の町は水没し、絶滅した海の生き物がたくさん現れる。都市伝説では古代魚が突然現れた理由として、ポニョが人間になるために「海の生命の源」をすべて解放したためだとされている。
そうすけとポニョの「古代魚だ!」「あれ、ボトリオレピスだよ!」という会話はなんともシュール。古代生物がいるという非現実的な出来事を驚かない純粋な子供ならではの反応である。
これらはデボン紀の水中生物であり、ボトリオレピスとデプノリンクスは実際に生息していたようだ。
しかし最後に出てくる「デボネンクス」は監督の創り出した架空生物。宮崎氏はこの生物に対して「いったんもめんでしょう」と、何とも言えないコメントをしている。
また、宮崎氏がもっとも力を入れたのが波の躍動感。魔法で生き物のように力強く動く”水魚”と名付けられる波は、生き物のように押し寄せる波のイメージを分かりやすく表現している。
都市伝説のように古代魚の出現にも深い意味がありそうだが、すべて手書きで描かれる生き物達はどこか可愛らしく愛着が湧く。そんなユニークな温かみも「ポニョの魅力」なのだ。
津波に込められた監督の真意とは?
宮崎氏は以前、ディズニーの「ファンタジア2000」を見た際に「惜しい。自分だったらフラミンゴが踊る水面下に沈んだ街を描くのに」と述べたことがあったそうだ。
確かに宮崎駿の作品は「水に沈んだ街」を登場させることが多い。その水はいずれも濁った水ではなく、綺麗で透明に澄んだものだ。
そのため、ポニョでは津波が起きて街がまるまる沈んでしまうというのに、ナゼか悲しむ住民は一人も描かれていない。
監督曰く「津波は人の心を綺麗にする不思議な魔法」であり、悲壮感漂うものとしてではなく、非現実的でワクワクするものなのだ。
この表現がポニョの神秘的世界観を生み出している。東日本大震災の影響もあり、津波は「破壊的で恐ろしい」というイメージが一般的となった。
しかし崖の上のポニョの都市伝説をまとめてみると、そんな自然の恐怖を描いているわけではなく、海の神秘的な世界を純粋に描いていたことが分かる。
完全オリジナルの「崖の上のポニョ」。そんな監督の自由な発想がダイレクトに伝わる作品である。