これぞ最恐!「日本昔ばなし」の怖い話まとめ【5選】
でんでん太鼓を持った少年が龍に乗って空をかける。
「坊や良い子だ」から始まる名曲とともに、かなり印象深い「日本昔ばなし」のオープニングだ。
今でも子ども時代の思い出として強く記憶に残っている人が多いのではないだろうか。
筆者が昔観た作品で特に思い出深かったのは「さるかに合戦」「浦島太郎」「おむすびころりん」。
日本人なら一度は観ておきたい作品だ。
しかし、そんな「日本昔ばなし」でとりわけ印象深いのが怖い話しである。
今回はトラウマにもなったと話題のものをいくつか紹介しよう!
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ここがポイント!
「日本昔ばなし」の怖い話し・厳選5作!
「日本昔ばなし」の中には「五郎びつ」や「稲むらの火」など感動モノの物語も多数存在する。
が、あの絵の雰囲気にマッチするのはやはり怖い話しだろう。
当時のスタッフもその辺りを把握していたのか、それとも「昔話」というジャンルにそもそも多いのか…
とにかく「日本昔ばなし」には怖い話しがかなり存在する。
・亡者道
・飯降山
・佐吉舟
・吉作落とし
・三本枝のかみそり狐
上記5作はその中でも「特に怖い!」と評判である。
せっかくなので今回はこれらのあらすじを紹介したい。
オカルトマニアの間でも怖いと有名!「亡者道」
現在の岐阜県にあたる飛騨の乗鞍岳(のりくらだけ)。そこには清霊田と呼ばれる沼だらけの場所があった。
更にその精霊田には「亡者道」と呼ばれる小さな小道が存在する。読んで字のごとく亡者(幽霊)などが通る道で、ここでは一切の殺生が禁じられていた。
ところが、麓の村に住む平十郎という男がこの亡者道の1つで狩りを行う。彼は毎年の晩秋に鳥を捕まえるのが趣味だったが、今年は知ってか知らずか亡者道を狩りの場所にしてしまったのである。
この流れはいかにも「日本昔ばなし」らしい。さて、この平十郎が不注意から捕まえた鳥に目を刺されてしまう。
近くの山小屋で応急手当をしたが、ひどく疲れたためその日はそこで寝ることにした。寝る間際に平十郎は「亡者道で狩りをすると幽霊の声が聞こえる」という祖父の言葉を思い出す。
夢でも見ていたのだろうと笑う彼の前に、しかし火の玉が現れる。火の玉はそのままどこかに向かう。
気になり追ってみると、亡者道に仕掛けた罠のところで大量の火の玉が動けずに止まっているのだ。火の玉たちは重なってドクロの姿になり罠を仕掛けた平十郎を追い始めた。
慌てて逃げる平十郎は精霊田の沼に落ち、そこでかつて祖父も亡者道で狩りをして片目を失ったことを思い出した…その後なんとか危機は脱したものの、それから彼は少し気がふれてしまった。
という怖い話しだが…実はこの精霊田や亡者道は実在する。
また「日本昔ばなし」で舞台となった場所は千町ヶ原と呼ばれており、一部のオカルトマニアからは怖いスポットとして以前から有名だ。
他にも姨捨山の怖い話しなど…「日本昔ばなし」には実話に近い物語がベースになっているものもあるので油断できない。
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二重に怖い「飯降山」!都市伝説まで生まれた屈指のホラー回
「日本昔ばなし」でのタイトルは「飯降山」。読み方は「いぶりやま」でこちらも福井県に実在する地名だ。
この山では3人の尼さんが暮らしていた。豪雪地帯で、また殺生を禁ずる尼さんなので食べるものにも苦労していたが、どうにか3人で協力して慎ましい生活を送っていた。
そんなある日のこと。尼さんの1人が天からおむすびが降ってくるのを目にする。
落ちた場所に行ってみると、実際に切り株の上に3つのおむすびがあるのだ。3人は「仏様からのお恵み」と考え1人1個ずつ分けあっていただいた。
すると次の日も、そのまた次の日も同じ木の上におむすびが置いてあるではないか…
始めは仲良く分けあっていた3人だったが、最年長の尼さんが次第に欲にかられて最も若い尼さんを殺してしまうのだ。翌日からおむすびは2つになった。
更にもう1人の尼さんが事実を白状させようと詰め寄ったためこちらも谷から突き落とすと、とうとうおむすびは1つも現れなくなってしまった…
「日本昔ばなし」にはこんな教訓的な話しが数多くある。飯降山も怖さの中に人としてのあり方が描かれた物語と言えるだろう。
ところでこの「飯降山」の話し。これはカニバリズムの比喩ではないかとする怖い都市伝説まで存在する。
内容的にやや刺激が強いのでこちらでは控えておくが、もし事実ならば「日本昔ばなし」最強の怖い話しだ。もし気になるのなら調べてみると良い。
“海”にまつわる怖い話しと言えば…「佐吉舟」
ある島の村に太兵衛と佐吉という若者が住んでいた。子どもの頃からの幼なじみだった2人はともに漁師になる。
そして、同じ女性を好きになってしまった。女性の父親は「結婚の条件」として魚を多く釣ることを提案する。
そこで太兵衛と佐吉が魚の取り合いを始めたのだが…ある日、佐吉だけ大漁のときがあった。
極端にも船底を埋めるほど魚でいっぱいになったのだ。しかしそんな時に限って大波が押し寄せ、結果的に佐吉は溺れ死んでしまう。
太兵衛はこのとき彼を助けることも出来たが「女性を諦めたら助ける」という提案を断られ、佐吉を見殺しにしてしまった。
それから数日後…太兵衛はいつものように漁へ出た。すると遠くから一隻の船がやってきて、船主が「柄杓をくれ」と声を掛けてきた。
彼が振り向くと、なんとそこには海で溺れ死んだ佐吉、いや…もしくは彼と瓜2つの人物がそこに立っていたのだ。
太兵衛は先日の罪悪感から柄杓をくれてやったが、佐吉はその柄杓で太兵衛の船に水を入れ始めた。やがて船は沈没。太兵衛は波に飲まれて姿を消したそうだ。
漁村によくある民間伝承をモチーフにした怖い話。「日本昔ばなし」の中でもベターな類だろう。
また別のバリエーションとして海から多数の手が現れるものもある。こちらは対処法も紹介されていて、その場に出くわしたら底を空けた柄杓を渡せとのこと。
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高所恐怖症の人は見ちゃだめ!?「吉作落とし」
断崖絶壁の場所にしか生えない「岩茸」というキノコがある。吉作の仕事はこの岩茸を取ることだ。
ある日、吉作はいつものように岩茸を取るため山の頂上まで登り反対側の崖に命綱一本で下りていった。いくらか下りたとき休めそうな場所を見つけて一息つく。
その後に作業を再開しようとした吉作だが、ここである異変に気付いた。それは、命綱代わりに使っていた紐が崖の上の方に戻ってしまったこと。
吉作の体重を支えるために伸びきっていた紐が手を離したことで縮んでしまったのだ。どうやっても紐には手が届かない。
下を見れば地面が見えない程の高さ…吉作は断崖絶壁にたった1人残されてしまったのだ。叫び声を上げたところで助けは来ず、その状態のまま何日か経つ。
やがて吉作は空腹と寒さから気が狂ってしまう。彼がふと遠くを見ると、そんな状況とは対照的に鳥たちが悠々と飛び交っていた。
「俺もあの鳥みたいに羽ばたけるかもしれない…」
気が頂点に達したのか、吉作はとうとう崖から身を投げ出してしまうのだった。
これは「日本昔ばなし」の中でも屈指の怖い系として有名。特に高所恐怖症の人からするとトラウマでは済まないくらいの怖い印象があるようだ。
現代でも「登山は2人以上で」というのが暗黙のルールだったりする。こちらもやや教訓染みた話しである。
日本昔ばなしでは異色の怖さ!「三本枝のかみそり狐」
狐に化かされるという話は各地の伝承に残っているし、耳にしたことのある人も多いだろう。こうした民話を「日本昔ばなし」で取り上げたのが「三本枝のかみそり狐」だ。
彦兵衛という強がりな男が狐に騙される話だが…この物語は他の「日本昔ばなし」とは怖さのベクトルが違う。
普通は後味の悪さや不気味さが怖い部分のベースになるが本作の場合、ストレートに絵でビビらせにくるからだ。彦兵衛は作中で赤ん坊を殺してしまい、その祖母が怒り狂って復讐しようとする。
しかし赤ん坊は実在せず、祖母も狐が化けたものだが…祖母の顔が一回転したかと思いきや、目が血走り口は耳元まで裂けたまさに化け物の形相に変貌する。
そして刃の欠けた包丁を手にしつこく追ってくるのだ。視覚的に訴えるのはシンプルだが最も効果的だろう。
ネット上でも「ババアの顔がヤバ過ぎる!」と評判だ。もちろん肝心のストーリーについてはほとんど語られていない。
まだまだ存在する…「日本昔ばなし」の怖い物語
ところで「日本昔ばなし」はたびたび再放送されている。感動系や怖い系に限らず、人気の回は何度も放送されるので記憶に新しいようだ。
今回紹介した3作も「未だにトラウマ」「子供のころ見た覚えがある」と言ったコメントがネット上で数多くみられる。
また、他にも怖い系で有名な話しとして「おいてけ堀」「十六人谷」「みちびき地蔵」などがある。
特においてけ堀は「日本昔ばなし」をきっかけに有名になったと言って過言ではないが、こう言った経緯を知らない人も多い。なので再発見的な形で「日本昔ばなし」に触れてみるのも良いかもしれない。
ちなみにオープニングは「龍の子太郎」というストーリーが元になった映像だ。
「日本昔ばなし」では同じ民間伝承がモチーフの「小太郎と母龍」が放送されている。どちらも怖いというより感動的な話しではあるが、こちらも興味があればぜひ。