まさかの結末に…!カードキャプターさくら、最終回とその後
「カードキャプターさくら」と言えば、一時代を築き上げた伝説的アニメと言っても過言ではない。
当時としては画期的なストーリーやプロット、または魅力あるキャラクターたちによって多くのファンを作ってきたこの作品。
最終回を終えたその後について、今回は紹介しよう。
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ここがポイント!
「カードキャプターさくら」の最終回ってどんなだっけ?
「カードキャプターさくら」と聞いて真っ先に思い出すのは、やはり主人公のさくらと使い魔のケロちゃん。
あるいは迫力ある戦闘シーンや、知世ちゃんなどのサブキャラに思い入れのある人も多いだろう。
ところが全体のあらすじになると意外と曖昧で、特に最終回は忘れている人も結構いるのではないかと思う。
またアニメ版では、原作版の「その後」が少し描かれているなど、発表された媒体によってもやや内容が異なる。そこで本題に入る前に、少しカードキャプターさくらの最終回をおさらいしておきたい。
まず、カードキャプターさくらは初めの「クロウカード編」。そして、その後に開始した「さくらカード編」の二部構成だった。
アニメではこれを三期に分けて放送していたが、この点についてはご存じの方も多いかと思う。(今回、特別放送のスペシャル番組は割愛)
問題となるのは「さくらカード編」のその後を描いた劇場版「封印されたカード」だ。
アニメ版における本編最後のストーリーであるこの作品は、言うなれば、正真正銘カードキャプターさくらの最終回。その劇場版で、さくらは旅行先の香港で小狼(シャオラン)と再会する。
そこでクロウカードを原因とする波乱に巻き込まれ、事件が解決した後に二人はクマのぬいぐるみを交換する。
この時、お互いのぬいぐるみに「さくら」「小狼」と名付け合うところが青春を感じさせる泣きポイントだ。
設定的に見れば、この時点で二人は結ばれたので十分ハッピーエンドに思えるのだが…事件が解決したその後、さくらは帰国。小狼は香港に留まったため、二人は遠距離恋愛を強いられてしまう。
しかし最終回では、彼女たちが中学1年生になった頃のエピローグ的なプロットが用意されている。そこで小狼は日本に戻って来て「ずっと友枝町に居られる」とさくらに告げるのだ。
その後二人が抱きしめ合って、物語の幕が閉じられるのだが…実はここが、原作と違うポイントとなる。
マンガ版のカードキャプターさくらでは、小狼が香港に帰る直前の空港内で告白が行われた。
と言うのも、途中からアニメ版の方が先に話が進んでしまい、まだ発表されていない原作のプロットを前借りする形で製作が進められたからだ。
そのため大まかな流れは同じものの、アニメ版は「原作のその後」まで描いた作りとなっているのだ。
もし同じカードキャプターさくらファンでも最終回の記憶が食い違っているとしたら、この辺りに理由があるだろう。
ちなみに原作とアニメ版の違いは他にもあって、例えば「おてんばな中国娘」という強烈なイメージを持った人も多いであろう、小狼の許嫁である苺鈴(メイリン)。
なんと彼女はアニメオリジナルキャラクターであり、カードキャプターさくらの原作には一切登場しないのだ。もちろん執事の偉望(ウェイワン)もマンガ版には存在しない。
恐らく「小学生で一人暮らし」という設定が、NHK的に問題アリと考えられたからだろうが…
他にもマンガ版では、エリオルと観月先生が両想いになる描写があるが、アニメでは二人のその後があまり語られていなかったりする。
いわゆるオリジナル展開はこうした作品にはよく見られるが…ここまで大きく食い違っているとファンとしては驚きだろう。
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カードキャプターさくら現象!?その後のアニメ業界に貢献していた?
カードキャプターさくらの人気の理由。それは、何と言っても主人公「さくら」の魅力にあるだろう。
当時としては最先端の丸みを帯びた絵柄や、奇抜で可愛い戦闘服などチャームポイントも多かった。そして最大の特徴と言えば、声優・丹下桜の声で発せられる「はにゃーん」「ほえ〜」と言った口癖だ。
これはもはや名言(迷言?)とも呼べるくらい流行し、カードキャプターさくらを知らなくてもこの感嘆詞は知っていたという人は多いと思う。
と、こう紹介すればなんとなく分かると思うが…
この作品は「なかよし」に掲載されていた正真正銘の少女漫画だったにも関わらず、アニメ放送を皮切りにいわゆる「大きなお友達」をどんどん増やしていった作品でもあるのだ。
このような状態は、その後の「おジャ魔女」や「ふたりはプリキュア」などにも見られる。つまりはアニメ界における「大きなお友達」現象は、カードキャプターさくらの影響と呼べなくもない。
さらに、最終回を目の当たりにしたファンが一時的に生きる希望を失う「ロス現象」も、実はこの時点でチラホラと見受けられている。
「萌アニメ」というジャンルも、カードキャプターさくら以前には存在していなかった。あるいは存在していたとしても認知度が低かったことを考えると…
この作品がきっかけで、その後の深夜アニメブームやオタク文化が作られていったと思えなくもない。そうした「クールジャパン」的な状態が文化的に正しい進み方かどうかは、ともかくとして。
「カードキャプターさくら」はアニメ界に多大な影響を及ぼした名作といって間違いないだろう。
一生忘れられない最終回!?カードキャプターさくらを襲った「武蔵丸の悲劇」
感動的なエンディングを迎えるはずだった第三期の最終回、第70話「さくらと本当の想い」。
この回には放送終了から10年以上も経った、その後の今も語り草となった、ある都市伝説的なエピソードが存在する。
劇場版は別にして、地上波だけで考えれば正真正銘の最後の放送となった第70話。時は2000年3月21日に遡る。
この時、世間では「大相撲春場所」の十日目が行われていた。しかし事前の取り組みが長引いたため、肝心の横綱戦が放送予定の18時を過ぎてから始まるというハプニングに見まわれた。
当時大相撲を生放送していたNHK-BS2は、急きょ番組延長を決定する。まあ、野球やバレーなど時間の定まっていないスポーツにはよくあることだ。
だが、この番組延長が最大の悲劇となる…と言うのもカードキャプターさくらは当時、大相撲の放送直後である18:00から始まっていたのだ。
もちろんリアルタイムで見ている人たちにとってはなんら問題ない、むしろ問題があったのは録画勢である。
デジタル放送が普及した現在と違い、当時の予約録画といえば先んじて任意に時間とチャンネルを設定するタイマー録画が主流だった。
当然このタイマー録画に「放送時間の延長を自動で修正してくれる機能」など存在しない。何も知らない予約勢の彼らは、帰宅したその後…
ビデオを見た次の瞬間、当時横綱であった武蔵丸の姿を拝むことになっただろう。カードキャプターさくらの「はにゃーん」を見るつもりが、オッサンの「ぼよーん」な体を見せつけられたのだ。
最終回を期待して録画再生をした彼らが「ぽかーん」となったのは想像に難くない。
更に言うなら録画のタイミングがずれたため、本放送のラストシーンとその後に行われた声優のインタビュー映像すら、彼らは見ることができなかったのである。
代わりに彼らが見たものは、時間延長までして放送された一戦でまさかの敗北を喫する横綱・武蔵丸の姿。
そして、皮肉にも画面上部に浮かんだ「衛星アニメ劇場は6:04分から放送します」という無慈悲なテロップであった。
このあまりにも最終回に相応しくない事態を、カードキャプターさくらファンは怒りや恨みを込めてこう呼んだそうだ。
『武蔵丸の悲劇』
ちなみにこの問題となった最終回は、その後NHK教育で再放送されている。その時は特にハプニングも起きなかったため、ファンの怒りも幾分か静まったという。
カードキャプターさくらに「続編」?ツバクロとの関係は
原作は2003年から「週刊少年マガジン」で、アニメは2005年からNHK教育で放送された「ツバサ・クロニクル」という作品がある。
略してツバクロとも呼ばれるこの作品。作者がカードキャプターさくらと同じCLAMPで、登場人物にも「さくら」や「小狼」などがいる。
またキャラクターたちは、当時よりやや成長した姿で描かれている。こう聞けば誰もが「最終回のその後を描いた物語」と考えるだろう。
実際に、ツバサ・クロニクルに対してそう思っていた人も多いかもしれない。ところがこの「ツバクロ」、実はカードキャプターさくらの続編では一切ないのだ。
単にキャラクターの名前と外見、あるいはキャラクター同士の関係性を設定的に似通わせただけの作品となる。
こうした手法は「スターシステム」といって多くの作品で見られるが、ここまでガッツリとやり切った例は中々ない。
あるいはハイパーリンクやパラレル系と呼べるかもしれないが、現在でもこうしたタイプのマンガをあまり見かけないだけに、当時はかなり前衛的という評価を受けていた。
また、内容もかなりぶっ飛んでいる。原作のタイトル『ツバサ RESERVoir CHRoNiCLE』が一部改題されていることからも分かる通り、アニメ版では大部分で規制がかけられたという。
しかし、そのユニークなストーリー性が受けて『ツバサ・クロニクル』も打ち切りにあったりはせず、第52話で無事に最終回をやりきってみせた。
その後も「TOKYO REVELATIONS」や「春雷記」などの続編を発表。カードキャプターさくらとは別の独自展開を広げたのである。
あくまでスターシステムを用いた別の作品同士ではあるが、これは中々見応えがある。いわゆる「さくらファン」である以上、「ツバクロ」も見ておくことをオススメする。
ちなみに2016年。「なかよし」では、連載開始20周年記念としてカードキャプターさくらの「最終回のその後」を描いた「クリアカード編」がスタートした。
「もう20年以上も経つのか!」という驚きと、「じゃあ当時の読者層だった『少女』たちはもう…」と。やや失礼な想像を浮かべたりしつつ、長い年月を経て復活した「さくら」に期待したい。