《猫の恩返し》登場人物の名前や作品にまつわる裏設定

th_スクリーンショット 2016-06-15 1.42.19

のんびりとしたキャラクターと早いストーリー展開が特徴の「猫の恩返し」。

本作品に登場する猫の名前には、聞き覚えのある人も多いのではないだろうか?

実は、他のジブリ映画にも同じ名前で登場しているキャラが何匹かいるのだ。

そこで今回は、「猫の名前」にまつわる共通点についてまとめてみた。

さらに「猫の恩返し」をより楽しむためのポイントも合わせて紹介したい。

Sponsored Link

猫の名前にはある共通点が…

th_スクリーンショット 2016-07-08 2.17.51

初めに知っておいてほしいことは、「猫の恩返し」は「耳をすませば」に登場する月島雫が書いた物語だということだ。そのため、耳をすませばに登場した猫や名前等が使われているのだ。

分かりやすいのは、猫の恩返しでメインキャラクターとして登場する猫男爵、バロン。彼の本名は「フンベルト・フォン・ジッキンゲン」。

彼は、「耳をすませば」に出てくる地球屋のおじいさんが持つ猫男爵と名前、姿ともに一緒なのだ。(作中ではバロンをメインに物語を書きたいと、おじいさんに許可を得るシーンがある)

また、「猫の恩返し」ではムタという名前で呼ばれるデブ猫。彼の本名はルナルド・ムーン

耳をすませばでも、月島雫が電車で図書館に向かう際にこの猫が登場している。このとき天沢聖司は体が丸いという理由から、彼にムーンという名前を付けていた。

作中ではあちこちを歩き回る猫として「お玉」「ムタ」など、各地で様々な名前を付けられている。こちらも物語を書いた雫の身近にあったために、キャラクターとして取り入れられたのだろう。

また「大人しい猫」という印象だったが、猫の恩返しではやや横暴なキャラ設定に変わったところが興味深い。

 

「猫の恩返し」は短編作品になる予定だった

th_スクリーンショット 2016-07-08 2.18.59

猫の恩返しは他のジブリ映画と比べて、ポップで現代的な作品に仕上がっている。

実は今作品。ジブリでは初となる、宮崎駿と高畑勲が関わらずに公開された物語で、比較的若いスタッフによって製作されたのだ。

もともとは「テーマパークのシンボルキャラクターを作ってほしい」という某企業の依頼から、耳をすませばのムーンをメインにしたショートムービー(短編映画)を作る企画があがっていた。

ところが、原作者が書き下ろした物語が予想以上に充実した内容だったために、急きょ75分の劇場アニメにする方針が取られて本作品が出来たのだ。

ジブリに新たな風を吹かせた作品の一つと言える。

Sponsored Link

猫の恩返しと「ギブリーズ」の深い関係とは

猫の恩返しは映画公開の際、「二本立て」になっていた事をご存じだろうか?もう一本と言うのが、スタジオジブリ短編アニメーションの「ギブリーズ episode2」。

監督の百瀬義行は「火垂るの墓」での作画監督や「ホーホケキョ となりの山田くん」の演出など、ジブリ映像制作に深く関わって来た人物である。

ちなみに最初の「ギブリーズ」が公開されたのは、2000年の日本テレビ系列での放送。上映時間は猫の恩返しが75分に対し、ギブリーズはわずか25分。

あわせて丁度100分なのは狙ってのことだろうか…どちらも「ほのぼの系ストーリー」だが、一見大きな共通点は見当たらない。

しかしプロデューサーの鈴木俊夫によると

「目まぐるしく過ぎていく現代において、私に出来ることは一つしかない。それは目の前のことを着実に、コツコツと進めること。人生は長いし、ゆっくりでいい。猫の恩返しのハルちゃんもギブリーズの野中くんも、実はそんな人物」

と、主人公の共通点を明かしている。

毎日慌ただしく過ぎ、狂気ともいえる現代に多くの人が焦りを感じてしまうのが現状。そんな中、強い志を抱いてコツコツ努力できる人は意外と少ないと思う。

この2本立ては、そんなときに「自分らしさとは何なのか?」を共通して教えてくれる優しくも逞しい作品なのだ。

 

「猫の恩返し」の主人公がマイペースすぎるワケ

th_スクリーンショット 2016-07-08 2.31.50

猫の恩返しを観ていて主人公を「可愛い」と感じる人も多いのでは?実は主人公の可愛さは、監督の森田宏幸が特にこだわった点なのだ。

彼いわく「宮崎駿作品では小さくて可愛い女の子が多いので、今回は自分が思う“ちょっとイイ女”をイメージした」とのことで、監督の趣味が露骨に表れている。

このストーリーと言えば、ごくごく普通の女子高生が猫の世界へと連れられる冒険ファンタジー。そして通常、この手の話だと冒険を通して主人公が著しい成長を遂げる。

しかし、主人公のハルにおいては飛躍的成長や緊迫した表情なども特に描かれていない。これには森田監督の「成長するのは難しいし、成長できなくて当たり前」というリアルな現実を重視した考えが関わっている。

自分が猫と結婚させられる危機に直面したのに「猫もいいかも!」と言っちゃうほど能天気なハル。紳士的だが、浮世離れしているバロン

そして、猫の国で悪名高く荒っぽいものの、単純で優しいムタなど…彼女を取り巻くキャラクターも個性的である。彼女はそんな個性的な登場人物たちに翻弄されつつも、何とか事態を乗り越えていく。

確かに飛躍的成長などはないものの、彼女のどんな時でも焦らず前に進む姿勢にだんだんと周りが突き動かされていくのだ。そんな「マイペースさ」こそが、ハルの最大の魅力だろう。

猫の恩返しはのんびりと観れる映画である。その理由としては、監督が裏付けしたテーマが大きく関係している。

焦っても意味はない。目の前のことを一つ一つやるしかない

忙しく余裕がなくなった時にこそ、「猫の恩返し」のストーリーを思い出してほしい。

Sponsored Link

他にこんな記事も読まれています

サブコンテンツ

このページの先頭へ